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『営業ビジネスマナー超入門』
[はじめに]
あなたは「営業ビジネスマナー」という言葉で何を連想しましたか?
名刺の渡し方? おじぎの仕方? 敬語の使い分け?
営業の場面に特化したビジネスマナー?
私は現在「営業マン教育」をテーマにセミナーや講演、社員研修などを行っていますが、そのなかで強く感じていることがあります。それは、お客さまとのコミュニケーションの取り方を知らない人があまりにも多いということです。
もちろん、一般的なビジネスマナーである、名刺交換の仕方や敬語の使い方などは多くの人ができているのですが、肝心の営業場面でのマナーが不足しているのです。
憶えはありませんか? お客さまが聞いているのかどうかもわからずに、延々と商品説明をしているときの不安な気持ち。説明し終えたときの、お客さまの無反応。そして「何かあったら連絡するよ」と言われて帰っても、かかって来たためしがない電話。どんなに頑張って営業しても、手ごたえが感じられない日々‥‥。
これらは、正しい名刺交換の仕方を覚えるだけでは決して解決しない問題です。
本書のタイトルである「営業ビジネスマナー」とは、それを補うための強力なスキルです。マナーという「型」を通した円滑なコミュニケーションの手法なのです。
かつては「販売」するだけでよかった営業も、今では「リサーチ」「アポ取り」「情報収集」「アフターフォロー」など、様々なことやらなければ売れない時代になりました。加えてインターネットやメールなど、新しいビジネスツールにも適応しなければなりません。営業マンの仕事の幅は急激に拡がっていると言えます。
それにともなって、営業の質も大きく変化しています。その典型的な例は、従来の「お客様は神様」的なスタイルが歓迎されなくなってきていることです。
いま、営業に最も大切なことは「お客様に信頼されること」です。逆に言うとお客様は信頼できる営業マンを求めています。単なる商品説明係は不要なのです。
これについては、序章で述べていますので、もしあなたが今、この本を書店でご覧になっているのなら、まずは序章までお読みいただくことをお勧めします。
本書が一般のビジネスマナー本と大きく違うところは、内容の構成にも現れています。
多くのマナー本は、服装や言葉づかいなどのマナーから始まっているのですが、本書ではそれを最後にしています。かたちよりも優先的に覚えておくべき項目があると考えているからです。
ここではビジネスマナーを単なる常識ととらえるだけではなく、お客さまからの信頼を得るための行動と位置づけることで、より実践で役に立つ内容に仕上げています。
そして読み終えた頃には、売れる営業マンと売れない営業マンの決定的な違いに気づくことでしょう。
2007年10月
初回営業コンサルタント 渡瀬 謙
[目 次]
序章 営業ビジネスマナーを知らないとこんなにヤバイ!
売れない理由と売れる理由/営業ビジネスマナーが決め手だった!/なぜいま、営業ビジネスマナーが注目されているのか?/営業マンらしくない人が売れる営業マンに!/一生モノの営業の基礎を自分のものに!
第1章[初対面編]
初対面の相手に好印象を与えることで、営業をもっと楽にしよう!
1(名刺交換のマナー)
名刺交換は最初の会話のきっかけに使おう!
2(席で待つときのマナー)
お互いにリラックスできる環境づくりを心がけよう!
3(訪問前のマナー)
事前の準備をすることで信頼感を与えよう!
4(お茶を出されたときのマナー)
お茶という相手の好意に礼をつくそう!
5(話題づくりのマナー)
相手の話題でまずは場を温めよう!
6(自己紹介のマナー)
ポイントを絞って自分をアピールしよう!
7(用件を伝えるマナー)
今日は何しに来たのかを簡潔に伝えよう!
8(紹介されたときのマナー)
紹介されたときほど慎重に行動しよう!
9(遅刻したときのマナー)
やむを得ず遅刻するときには事前に連絡を入れよう!
第2章[電話・メール編]
便利な時代だからこそ知っておきたい電話・メールのルール!
1(伝言を受けるときのマナー)
取り次ぎとメモの取り方にもひと工夫しよう!
2(名乗らない人へのマナー)
お得意様の可能性があるので失礼のないようにしよう!
3(アポ取りのマナー)
電話でのアポ取りは営業色を消そう!
4(日時を決めるときのマナー)
すべてを相手に合わせることはやめよう!
5(携帯への電話のマナー)
ビジネスとプライベートを分けて行動しよう!
6(携帯から電話するときのマナー)
落ち着いて話せる場所を選ぼう!
7(打ち合わせ中の携帯のマナー)
話の途中で電話が鳴ったら状況をみて判断しよう!
8(メールの基本マナー)
メールと電話の違いを明確にしておこう!
9(メール送信のマナー)
スパムメールと間違われないようにしよう!
第3章[社外コミュニケーション編]
社外での小さなふるまいが営業成績を大きく左右するのだ!
1(言葉遣いのマナー)
どんなに親しくてもビジネスの場での言葉遣いには気をつけよう!
2(移動中のマナー)
誰がみているかわからないところでは不用意な発言に注意しよう!
3(接待するときのマナー)
しっかりと目的を持って接待しよう!
4(接待されるときのマナー)
ビジネスを円滑に進めるための場と心得よう!
5(待ち合わせのマナー)
初めて会うときには目印を持って行こう!
6(飲食の支払いマナー)
支払いをどうするかを先に決めておこう!
7(クルマのマナー)
クルマにお客様を乗せるときのマナーを知っておこう!
8(受付に対するマナー)
先方の受付にもきちんと挨拶をしよう!
第4章[社内コミュニケーション編]
できる営業マンほど社内での人望が厚い!
1(飲み会のマナー)
飲み会の次の日の対応が重要だということを知っておこう!
2(たばこのマナー)
今の時代、たばこを吸う人への配慮をしよう!
3(付け届けのマナー)
お中元、お歳暮などは心を込めて贈ろう!
4(頼むときのマナー)
小さなことでも感謝の意を表そう!
5(提案のマナー)
企画の提案などを上手に通すコツを覚えよう!
6(会議のマナー)
どんなに退屈な会議でも必ず出席しよう!
7(叱られ方のマナー)
お互いの立場を考えた上手な叱られ方を覚えておこう!
第5章[トラブル編]
問題発生!そんな時こそ営業の真価が問われるのだ!
1(クレーム電話へのマナー)
怒っている相手に対する態度に気を付けよう!
2(勘違いのマナー)
言った言わないの応酬にならないようにしよう!
3(相手がミスしたときのマナー)
相手の立場を悪くしないように配慮しよう!
4(病気、事故のマナー)
緊急事態への対応で、相手に好印象を与えよう!
5(クレーム処理のマナー)
クレームが来たら営業チャンスと考えよう!
第6章[基本マナー資料編]
絶対に外せない最重要ポイントをチェック!
1(席順のマナー)
どの席に座るべきかの常識を知っておこう!
2(敬語のマナー)
間違えやすい敬語については覚えてしまおう!
3(電話応対のマナー)
電話応対の基本スタイルを身に付けよう!
4(身だしなみのマナー)
相手に不快感を与えないように気を配ろう!
[序章]営業ビジネスマナーを知らないとこんなにヤバイ!
●売れない理由と売れる理由。
商品知識も営業トークもしっかり憶えた。
質問されてもきちんと答えることができる。
それでも‥‥
どうして売れないんだろう?
どうして断られるんだろう?
売れている人はどんどん売ってくるのに‥‥
やっぱり自分は営業に向いてないのかな?
じつは最近このような悩みを抱えている人が多いのです。
いま私は人に営業を教える仕事をしていますが、明らかに同様な悩みを抱えている人が増えています。しかも年齢や営業経験に関係なく、売れている人と売れていない人の差がはっきりとしてきているのです。
一番の問題は、なぜ売れないのか理由がわからないという点です。
昔なら、キャリアを重ねるごとに知識や経験も増えて、売れるようになってくるというのが普通の流れでした。
ところが現在では、どんなに知識武装をしていても、売れない人はいつまでも売れないままです。トークを工夫したりテクニックを駆使してみてもなかなか結果に結びつきません。
さらにいうと、実は売れている人もなぜ自分が売れているのかがわかっていないまま営業しているケースが多いのです。売れている人に秘訣を聞いても、スッキリとした答えが返って来ないのはそのためです。それを「営業センス」という言葉で片付けてしまい、自分には営業センスがないからとあきらめている人のなんと多いことか。
たしかに営業センスは、売れる理由の大きな要因です。
それをもっと分かりやすくできないものだろうか?
本書の狙いはそこにあります。「営業センス」というぼんやりしたものを細かく分析して、ある意味で科学的に解明することで、特定の人だけのものと思われがちの「営業センス」を、誰でも習得できるような内容になっています。
本書を読み終えたころには、今まであなたが売れなかった理由、もしくはなぜ売れていたのかという理由がハッキリとわかるようになるでしょう。
●営業ビジネスマナーが決め手だった!
本書のタイトルである「営業ビジネスマナー」という言葉は、聞きなれないかもしれません。よく言われるビジネスマナーとは、あいさつの仕方や文書の書き方、そして仕事上での上下関係に気を配るなど、ビジネスの場で恥ずかしくないようにするための作法です。もちろんこれを知っておくことは、ビジネスマンにとって大切です。
一方、「営業ビジネスマナー」とは、営業の場に特化したマナーのことです。一般のビジネスマナーとの大きな違いは、それが利益に直結するところにあります。
営業の場では、ほんの小さなミスでも致命傷になりかねません。営業としてのマナーに反したために、売れるものも売れなくなるというのは案外多いのです。そしてその影響は個人だけにとどまらず組織や企業にも業績として大きく跳ね返ってきます。
つまり営業ビジネスマナーを知らないと、恥をかく程度では済まされないほど大きな損失が出る可能性があるのです。
しかもカタチとして見えにくいものなので、自分の営業ビジネスマナーが正しいかどうかを自覚できないでいる場合が実はとっても多いのです。
その意味では「営業ビジネスマナー」と「営業センス」はとても似ています。感覚的な営業センスというものを、実践的に置き換えたのが営業ビジネスマナーだと解釈していただければよいでしょう。
売れている人に言えるのは、当人が意識していなくても、一様にこの営業ビジネスマナーができているということです。
また、一般のビジネスマナーがそのまま営業ビジネスマナーに当てはまるかというと、そうでもありません。営業の場では、ときに独自のマナーを要する場合もあるので注意が必要です。
●なぜいま、営業ビジネスマナーが注目されているのか?
かつては、ひとつの商品力が強い時代がありました。
競合の商品もなく、しかも世の中にもまだ普及していない商品は、商品力が強いといえます。たとえばモノクロテレビの時代にカラーテレビが出現したときなど。そんな商品はお客さまに見せるだけで、ある意味簡単に売れていました。その商品が欲しいというニーズが強かったからです。
ところが今ではモノがあふれています。家庭の中でもこれ以上ほしい電化製品はなくなってきています。需要があるとすれば買い換えのときくらいで、それも今ではインターネットで簡単に比較検討できるので、あとは値段をどこまで下げるかの競争になっています。
あなたの売っている商品やサービスはいかがでしょうか。
類似商品や競合他社は当たり前のようにありませんか?
同じような商品が横並びにたくさんあるわけですから、お客様はどれを選んでも大差はありません。ある意味必要な基準さえ満たしていればどれでもいいのです。
では現在のお客様は何で商品を選んでいるのでしょうか?
その新しい選択基準が営業マン、つまり「ひと」です。
どうせ買うなら気に入った人から気持ちよく買いたいというのが、購買動機の上位になってきているのです。逆に言うと、営業マンに少しでも気に入らない部分があれば、すぐに他で買ってしまうというシビアな部分もあります。
そこで注目されるのが営業ビジネスマナーというわけです。
現在のビジネスでは、商品では差が付けにくい分だけ、営業マン個人に依存する率が増えています。お客様はどの商品にするかよりも、どの営業マンから買うかで判断します。そのときに真っ先に切られるのが、営業ビジネスマナーができていない営業マンなのです。
いまの時代、知識や商品説明のうまさよりも、お客様へのちょっとした気遣いが命運を分ける決め手になります。だからこそ、営業ビジネスマナーが重要なのです。
● 営業マンらしくない人が売れる営業マンに!
私は幼い頃から無口でおとなしい子供でした。みんなでわいわい騒ぐより、ひとりでいるほうが好きでした。それは今でも変わっていません。いわば営業とは正反対の人間だったのです。
就職するときも何の取り柄もなかったので、当然のように営業に配属されただけで、決して自分で望んだわけではありませんでした。もちろん接待や宴会で盛り上げるなどは一切できない無口で暗い営業マンだったのです。
そんな私が、転職先のリクルートで入社10ヶ月目にして営業達成率全国トップを取ってしまいました。しかもおとなしい営業スタイルのままで。これには自分が一番驚きました。と同時に「営業には向き不向きなんてないんだ」と実感しました。
あとで振り返れば、その結果の要因こそ、営業ビジネスマナーそのものだったのです。
これをマスターすることで、営業には不向きだと言われてきた私のような人間でも、売れる営業マンになれることを、もっとたくさんの人に知ってもらいたい。そして営業は先天的なセンスではなく、技術的に習得できるものだということを体感してほしい。本書はそんな気持ちで書きました。
営業っぽくない人間がバンバン売ってくるのはとても痛快です。そんな気分をもっと多くの人に味わってほしいのです。
●一生モノの営業の基礎を自分のものに!
序章の最後に本書の構成をお話しておきます。
まず第1章は、営業のなかでも重要なポイントである初対面営業のシーンから。第一印象だからこそ、とりわけマナーを守るのは必須です。ここでは小さなミスも命取りになるということを解説します。
第2章は、営業の場面での役割がどんどん大きくなっている電話とメールのマナーです。お互いの顔が見えない分だけ、気を使わなければなりません。とくに携帯電話とメールに関しては、決まったマナーがまだない状態ですので、ここで基本を押さえてほしいところです。
第3章と4章は、対人コミュニケーションです。マナーが大切なのは商談中だけではありません。いたるところで、お客様はあなたをチェックしています。また営業だからといって社内コミュニケーションを疎かにしてはいけません。そのなかでも特に重要で判断に迷うような項目を選んで解説しました。
第5章は、緊急時のマナーです。クレームやトラブルへの対応は、営業力や人間性を試される機会でもあります。タイミングと応対を的確に対処できれば、逆にチャンスにつながります。
そして最後の第6章は、これだけは押さえておきたい基本ビジネスマナーを列挙しています。いわゆる常識の部分ですので、あなたの知識の確認としてご活用ください。
さていよいよ次ページから本題に入りますが、この営業ビジネスマナーをマスターすれば、あらゆる営業シーンで有効に機能します。例え転職したとしても使えます。時代が変わっても一生使える技術です。
ぜひ、売れる営業マンになっている自分を想像しながら、読み進めてみてください。
そんなあなたを想像している私もワクワクしています。
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